5日間のプチ移住。鹿島神宮をおさんぽ。【おさんぽ番外編】

鹿島神宮一の鳥居(クリエイティブ・コモンズ)

せっかくレンタカーを借りたのだから、ちょっと気になってたところを初日に回った。
いつも高速バス停まで師匠に迎えに来てもらうと、まず、北浦の橋を渡る。湖の中に威風堂々と建っている赤い鳥居が見えるのだ。これがとても気になっていた。

日本一の水上鳥居、鹿島神宮の一の鳥居。

水上鳥居としては日本最大だそうだ。こんなところに日本一が!!古代、この辺は茨城の霞ヶ浦・北浦、千葉の印旛沼・手賀沼を含む一帯に香取海という広大な内海が広がっており、鹿島神宮参拝の玄関口だったという。

この鹿島神宮、調べてみたら、も〜のすごく古くからある由緒正しい神宮だった。

どうやら神代の時代からあるらしい。「神武天皇元年に創建された神社」って、神武天皇っていつの話よ? え、初代天皇、紀元前660年? うっひゃ〜。
古事記や日本書記に出てくるタケミカヅチ命*を祀っている。イザナギ命の剣についた血から生まれた三神のうちの一神で、剣の神様という。『「香島の天の大神」が高天原より香島の宮に降臨した』と常陸国風土記にはある。天孫降臨で天皇家の系統が生まれる前の話になる。←歴史好きw

飛鳥時代には、大化5年(649年)に神郡として香島郡(鹿島郡)が成立し、天智天皇年間(668年-672年)には初めて朝廷から使いが遣わされたと「風土記」には記されている。大和朝廷から見て、東国の重要な戦略地だったにはちがいない。
現代も天皇の勅使が6年に1度、勅祭を行う勅祭社である。
鹿島神宮の再建された大鳥居さて、大鳥居から境内に入る。この大鳥居、以前は御影石で作られていた。御影石の鳥居としては日本一だったが、2011年東日本大震災の本震で根元にひびが入り、30分後の余震で根元からボッキリ折れて倒れたそうである。こちらでその写真が見られるが、見ると驚くよ。ほんと、ボッキリ。

被災地としてあまり報道されなかったが、師匠によると、北浦にかかる鹿行大橋は崩落し、道路はあちこちで陥没、沿岸は津波に襲われ道路に船はころがるわで、茨城の被害は相当なものだったと言う。
3年後、震災の教訓を受け御影石から木に替え、境内の樹齢500年の巨杉を伐りだし再建した。

東京ドーム15個分という広大な森に連なる境内に入ると、重要文化財や国宝が。

概略図を作りましたよ。
鹿島神宮みどころ

楼門(重要文化財)1634年水戸徳川初代藩主頼房卿奉納
日本三大楼門の一つに数えられる。鹿島神宮(茨城)阿蘇神社*(熊本) 筥崎八幡宮(福岡)。扁額の字は東郷平八郎によるもの。
鹿島神宮 楼門
本殿・石の間・幣殿・拝殿(重要文化財)1619年2代将軍徳川秀忠公奉納
奥に見えるのが御神木。鹿島の森で一番古い木で樹齢1000年だそう。
鹿島神宮 本殿
奥宮(重要文化財)吾妻鏡によると鎌倉時代にはすでに奥宮が存在していた。現在の社殿は、徳川家康公により1605年関ヶ原戦勝時御礼として建立された旧本殿である。秀忠公が新本殿を造営するにあたり、この地に遷された。
鹿島神宮 奥宮

タケミカヅチ命は剣の神様として、源頼朝、徳川家康など武将の尊崇を集め、中世からは軍神として崇められるようになった。その神剣(韴霊剣:ふつのみたまのつるぎ)の移しが展示されてたんだな〜。「国宝・直刀」としか看板が目に入って来なかったので、うっかり素通りしてしまったが。

宝物館 国宝「直刀」(通称:韴霊剣ふつのみたまのつるぎ の移し)が展示されている。全長2.7メートルという現存する刀の中では最長の刀で、奈良時代から平安時代にかけての作。古くより神宝として本殿で秘蔵されていた。元はタケミカヅチ命の神剣だったが、石上神宮に奉納されたため、その移し身として鋳造されたと見られる。見ればよかったな〜。奈良・平安時代に2.7メートルの刀を作れる鍛冶技術がスゴイ。

その他、タケミカヅチ命が日本に地震を起こす大ナマズを封印した要石とか、親鸞上人の旧跡とか松尾芭蕉が句を詠んだ碑とか、神の御使いの鹿園(アントラーズは鹿のこと)とか、いろいろあるが、この鹿島神宮の森自体が天然記念物である。極相林と言い、古代のコケから発達した植物が森に到達する極限の状態にあるらしい。←なんのこっちゃ?看板に極相林と書いてあったのよ〜。

鹿島神宮の森
この森の奥に、御手洗池(みたらしいけ)がある。
1日に40万リットル以上の湧水があり、水底が透けて見えるほど澄みわたった池だ。昔は参拝する前にここで禊をしたという。現在では、年始にふんどし姿の男達が大寒禊を行う。昔から長命の水とされてきた。
ここにあるお茶屋が、一番よかったわ〜。境内のお茶屋はこの一軒しか見かけなかったが、フィトンチッドに包まれながら、この湧水で作った蕎麦定食をいただいた。
試食で置いてあった「韃靼そばふりかけ」が気に入り、お土産に買った。香ばしくて、そんなにしょっぱくないので、サラダにかけたり、冷や奴にかけたりいろいろ活躍してる。
鹿島神宮 御手洗池お茶屋の食事

そうそう、12年に1度、9月1日〜3日にかけて行われる御船祭(みふねまつり)の壮麗さと規模は見事なものらしい。御船祭は古くは1700年前の記録があるというから、どんだけ古いんだ。「鹿島立ち」の陸上大行列があり一路大船津へ。そして、あの水上鳥居から大船団が出発するのね。次は2026年かあ。ぜひ見たいものだ。あ、その頃は完全に隠居のはずだから、見れるね(笑)

この初日が5日間中、たった1日の優雅な日だった。
このあと過酷な運命が待ち受けてるとも知らずに・・。

【捕捉1:タケミカヅチ命】
鹿島神宮の看板には「武甕槌大神:たけみかつちおおかみ」と表記されてたが、古事記や日本書記など文献によって漢字も読みもちがうので、一般的なタケミカヅチ命と表記した。

【捕捉2:阿蘇神社の楼門】
ちなみに阿蘇神社の楼門は昨年の熊本地震の本震で倒壊した。復旧に10年はかかると言われており、寄付を募っている。http://asojinja.or.jp

 

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