木の伐採もする里山整備。東京の田んぼだってタイヘンなのだ。

里山の木を伐採

なんと桜がほころび始めている。今年は早いですね・・と思ったら雪ですよ、雪。春分の日に、雪!!

さてさて、田んぼの話です。
広い平野を開墾した田んぼとは違って、山あいの谷戸田は、正月が過ぎるとやることいっぱいです。自然との共生で、常に整備していかないと稲は実ってくれない。里山は、人間が手を入れてこそ豊かな実りをもたらしてくれる場所なんだもの。

1月、苗場の整備

まず1月には、苗場の整備。これはNPOの先生やボランティアスタッフによって行われた。私はやってません・・すいません^^

稲って、移植する作物なんですよね。種籾を苗場に撒いて、強く育てて、それから水を入れた田んぼに移植するわけです。それが田植え。

苗場は段々になった田んぼの一番上にある。山から湧き出た水が、まず一番初めにここを通る。湧水の出口はいくつかあるが、苗場にはその出口のひとつがある。つまり、湧き出たばかりの清水だから、水が冷たいんですな。冷たいと発芽もしにくいし、育ちも悪い。
何年かやってみて改良を重ねてきてはいるのだが、苗が丈夫に育つのは大事なポイント。そこで、苗場に入る水がぬるむように、水路が苗場を二重に取り巻くように、変更したのだ。むろん、土木作業ですね。
改良した苗場の水路

2月、田んぼのまわりの木を伐採する

山あいの田んぼですからね、山の木は年々育っていきます。どんどん大きくなって、谷にある谷戸田に大きく影を落としていくようになるんですな。そうすると田んぼは日が当たらなくなり、当然、収量は落ちます。だから常に山の手入れもしていくわけです。今年も1本、田んぼに日陰を作る木を伐採した。

今年の伐採には行けなかったので、2年前の時の写真を載せますね。木の伐採をこの目で見たのは初めてだったので、超感動でしたよ。

木の伐採は、さすがに素人ではできない。というか、田んぼではかなり難しいらしいので、森林専門のNPOに頼みます。2年前、私が見学した時は樹木・環境ネットワーク協会に頼んでいます。植林や樹木保護で森を育てたり、森を守るグリーンセイバーを育てたり、森作りのボランティアを育てたりする全国規模のNPOで、C.W.ニコルさんが会長だった時もある。名の知れた老舗NPOだそう。

田んぼのまわりの木の伐採は難しい。

なぜ難しいかというと、スペースがあいている谷に向かって枝を大きく広げ、田んぼ側に傾いて育ってるんですよ。
それを田んぼに落とさないように、反対側の山に向かって倒さなければならないんですね。重力に逆らう作業ですわ。重力に逆らって倒す木 万が一にも田んぼに落ちてしまうようなことになれば、その田んぼは、もう使えない。木ってむっちゃ重いんですよ。茨城の庭の小さな木の切り株だって、持ち上げるの、むちゃくちゃ重いですからね。

高さ10数メートルにも育った木が田んぼに突き刺さった絵を想像してみてください。どうなると思います?

まず引き上げることは不可能ですね。田んぼの土は柔らかいから、グッサリ深く刺さると思われる。倒れた衝撃で枝はあちこちに突き刺さり、しかも重機を入れることのできない、せまい山あいですもん。小さな脱穀機ひとつ入れるのにも苦労しているのに、重機が入れるわけがない。人力だけでどうやって・・・? 田んぼはお陀仏ですわ。きゃ〜っ。

そう思うと、島とかで山の急な斜面に作った段々畑の土留めの石垣。あれ、人力で運んで積んだのよね〜。昔の人はよくやったなとホント感心します。先祖代々の土地、という気持ち理解できる・・。あ、脱線した(笑)

さて、木の伐採に話を戻そう。

まず、大きな枝を払う。なんという名前かわからないが(おいおい。今度調べます・・)滑車のついたロープを使って、スルスルと木に登っていく。めざす枝にロープをかけてから切っていく。

この役はさすがに素人ではできず、本職のプロだということだった。下では、切った枝が落ちないよう何人もの人でロープを引っ張っている。こちらはNPOに参加しているボランティアの人たち。中には女の子もいた。女の子のヘルメット姿ってかっこいいと思ったのを覚えている。

そして枝が降ろされる。

何度も言うようだが、たかが枝と言うなかれ。枝がこの太さです。むちゃ重いのだ。うしろにそびえているのが、これから伐採する幹。遠目で見ると、背が高いからホッソリ見えるが、どうしてどうして。実はぶ〜〜っとい木なんです。

主だった枝を取り払うと、いよいよ、幹を倒す。

幹を倒す予定の場所の竹やぶをナタで打ち払う。倒れた幹がぶつかって、反動でどこかへ転がっていかないようにするためだろうか。竹は強いものねえ、弾力性もあるし・・。

今度は幹にロープをかけ、テコの原理で、ロープを支える人員を遠くに配置する。その数、20名くらい。
当時、木の伐採を初めて見た私は、なんでこんなに大勢の人でやらなきゃならないのだろう?と思ったが、あれからいろんな体験をし、今なら理解できる。

この木はまっすぐ生えてない。複雑に折れ曲がっている。その上、田んぼに向かって傾いている。かなり難しいケースだったんだろうなあ。想像していた「た〜おれ〜るぞ〜」という感じではなかった。二手だったか三手だったか、記憶があいまいだが、何本か分けてかけたロープを人々が支えて、目指す山側へ倒そうとするのだが、重力に逆らってますからね、ロープを持った人の列が引っ張られて行った。とにかく、木というものは重いのだ。

そうして無事、木は倒れた。

残念ながら、竹を払って用意した場所に着地してはくれなかった。でも、田んぼに枝1本落ちなかった!ケガ人も出なかった。よかったよかった〜。だって、この木は我がマイケルチームの田んぼに影を落としてたんだもの。

みなさま、お疲れさまでした。ありがとうございました。

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