海の見える格安物件、必然の出会い【3】

「都心はもう上がりすぎちゃって、予算600〜700万じゃちょっと無理だと思う。」
「地方で探せばいいじゃん。うちの方なら、その予算で一戸建買えるぞ。」
と、新天地を求めて茨城へ移住した弟が言う。

一戸建に転向する。
今までマンションしか頭に浮かばなかった私には、新鮮で魅力的な響きだった。そうか。一戸建。土地付きか。土地?区分所有じゃなくて?大地を持つのか。←おおげさw なんだかすごくワクワクしてくる。

「中古をリフォームして貸すんだよ。俺が安くリフォームしてあげるよ。」

やっぱりそれかあ。でも悪くない。地方とは云っても初めて買った投資マンションとはちがって、東京からそこそこ近い。管理しやすい。それに移住して6〜7年、今ではリフォーム屋さんとして落ち着いた弟というツテがある。最初は得意の日曜大工の延長か?と思っていたが、すっかりビジネスとしてやってるようだ。
現地に顔が効くツテ。これ、大事。新潟のリース付き投資マンションはデベロッパーが倒産して、何度も新潟に通った。右も左もわからず、なんのツテもない土地で、グーグルもないあの時代、不動産屋さんを探すことから始まり苦労したっけ。往復の新幹線に現地でのタクシー代、1回行けば2〜3万は吹っ飛ぶ交通費を捻出するのがなにより痛かった。

あれに比べたら天と地ほどの好条件だ。
よし、やろう!
なにか動き出さなければ、なにも始まらない。

さっそくネットで検索を始めるとボロボロ出てくる。ほんとに安いんだな。空き家問題とかいろいろあるけれど、借り手は付くのだろうかとかいろいろあるけれど、伊達に何十年も不動産ウォッチャーやってない。
その中で気になった物件をどんどんピックアップしていく。グーグルマップと照らし合わせながら何十軒も見ていくと、傾向が見えてくる。山の中にポツンとある家。田んぼの中に数件づつポツポツと建つ家。海の近くはやはり人気物件なのだろう。
特に目を引いたその中の1軒、築49年と古いが、なんと50坪で100万円。破格の値段だ。しかも比較的まとまった住宅街の中にある。どうやら昔の新興住宅地のようだ。これはどうだろう?さっそく弟に相談すると、すぐ見に行ってくれた。立地的には賃貸に出しても行けるだろうという返事が返ってきた。ただし、あまりにボロボロで中を見ないとなんとも言えないということだった。即、不動産屋さんに連絡を入れ、内見を申し込んだ。

50坪で100万円。ありえない!
建物は古屋扱いだから土地の値段だけとは云え、都会のど真ん中のうちの近所じゃ、8坪という狭小の築50年が3380万で出てますぜ。平米単価104万円よ。それがこっちじゃ平米単価6000円? 都会はいかに高いかがわかろうというもんだ。

とにかく弟と一緒にその物件を見に行った。
結果は・・・残念でした〜

内見してみるとリフォームではどうにもならない。床は1歩歩けばギシっと沈み今にも落ちそうだし、ガス管には亀裂が入り、お風呂は昔ながらのタイル貼り整形の浴槽なので、浴槽をポンと取り替えるだけとは行かない。スケルトンまで戻してのフルリノベか、いっそのこと建て替えるか方法はなさそうだった。それではこの予算じゃとてもできない。しゃーない。次、行ってみよう〜!

だが1回でも現地に足を運んだのは非常に参考になった。土地の暮らし方、車がないと生活できなくて、奥さん旦那さん18歳以上になった子ども、車はひとりに1台、当然駐車場が人数分必要なことなど、都会でしか暮らしたことのない私には想像もつかない世界だった。弟の話だとアパートですら2DKなら2台分駐車場が付いてるのが、今や常識なのだそうだ。古い物件にはそれがない。だから木を切り倒し庭を駐車場にやりかえることも必要になってくる。

その次に見つけた物件は、あっという間に他の人が契約してしまった。いい物件はイス取り競争のようなもの。モタモタしてるとあっという間になくなるのは、3年前に西新宿で経験済みだったというのに。というか、ほんとにほんとにいい物件はまずネットに出て来ない。ネットに上げる前に懇意にしてる顧客か、業者間売買でなくなってしまう。とりあえず連絡取った不動産屋さんには、次に同様の物件が出てきたら連絡くださいと、アタリは付けておいたけれど。

そして探し始めて2週間。
また気になる物件を弟に見に行ってもらった。

「これね、家が傾いてるわ。それにね、大きな庭石がいくつもあって、岩の処理がすげー金かかる。岩をどけないと駐車場作れないし、無理。だけど、不動産屋にはもう行ってきちゃったんだよね。そしたらまだ世に出てない物件があってさ、海が見えるんだよ、その家から。」

・・・意外と長くなったのでまたまた続きます

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