2日目と最終日には、師匠が見に来てくれた。それだけじゃない。なにもない部屋で暮らすのだから、布団やシーツ、冷蔵庫代わりのクーラーボックス、余ってた電子レンジなど、前日までにいろいろこまごまとビーチサンダルに至るまで運び込んでくれていた。
ほんと、ありがたいです。感謝♪
ちなみに、師匠。シーツだと思って広げたら、全部掛け布団カバーだったけどね(笑)
篠竹の除去はプロならこうやる。師匠のご意見。
最終日に見に来た師匠が出来上がりを見て、ニヤッと笑う。
「やっぱり、こんなもんか(笑)」
「いやもう水シャワーかぶりながら、昨日なんか真っ暗になるまでやったし、今朝も朝の5時からやってるよ(笑)」
「俺もやったことあるから、よくわかるよ。だからもう自分ではやらないと言ってるんだ。今は業者頼んで、ユンボで根こそぎ掘るね。」
「う〜〜ん、業者さん・・」
「でも、ユンボを入れても、そのあとに引きちぎった根を取り除くのは、また別に頼むんだけどね。ユンボの業者は掘っくり返すだけだから。それか、2メートルくらい掘って、根ごと土を処分してもらって、新たな土を入れるね。仕事ではその方法使ってる。」
「2メートル? おおごとすぎない?」
「篠竹は1メートル下くらいまで、根を張ってるから。あんたが掘ったのはせいぜい50cmでしょ。でも、この下にまだあるよ。そいつが3年後くらいにまた持ち上がってくるんだよ。仕事でさんざん経験してきたから。だから、刈る前に直接農薬を塗布して、根から根絶する方法が有効だったのになあ。」
でも、その方法だと、3年かかるんだよね? その間、枯れた篠竹の先が地面にツンツン出てたら、家庭菜園もままならないじゃない。しかも、もう刈ってしまったから、それもできない。
「4日かかってこれじゃあ、自分でやるのは無理でしょう。業者頼むには予算かなりかかるけど。なんせ家の中で外構が一番金かかるんだよね。業者がだめなら人を頼むか、せめて、耕耘機を借りるとかしたら?」
「人を頼む、かあ。」
「市のシルバー人材センターというのがあるんだ。隠居してヒマなじいさんばあさんが登録してて、草刈りしたり子守りしたり、時給いくらでやってくれるんだ。中には元庭師のじいさんとかいるから、けっこう当たるとプロ顔負けなんだよ。ただしハズレると全然だめだめ、これに金払うの〜?って場合もある(笑)」
なるほど。そういう手があったか。東京に帰ったら調べてみよう。
田舎のインフラ。井戸水に下水、全部、自家処理。
「耕耘機といえばね、表のあの広大な畑。あそこで農作業やってるの見た。バスみたいに大きな耕耘機だったよ。運転席に横並びに3人座ってた。アメリカの畑で見るようなやつ。収穫やってたみたい。道には収穫したあと運ぶトラックが停まってたけど、何トン車だろう。爆走トラック野郎が乗るようなどでかいやつで、思わず、ここはアメリカですか〜?って思ったわ。」
「うん。土地広いから。規模がちがうんだな。だから、この辺の農家は金持ちだよ〜。鬼瓦とか巴瓦って屋根の先端につける瓦あるじゃん。あれ1個に50万とか、平気で金かけるから。あの金銭感覚理解できん(笑)」
平野が広がる豊かな土地って、ほんと、恵まれてるんだな。前にも書いたが、家康が小躍りして、関ヶ原から即関東に帰ってくるわけだ。
そういや、何気に物価は高い気がする。スーパーの食品の値段は東京と変わらないし、セルフサービスなのに生姜焼き定食が880円だ。新宿と変わらない。というか、新宿なら850円で運んできてくれる(笑)。名物のハマグリは店で食べると1個500円。(東京では見かけないくらい大きいが。)
この物価、全体に金持ちの土地柄だからOKなのか?(笑)
話がそれた。元に戻す。
「でね、問題はやっぱり農薬。これだけ大規模だと農薬の影響は免れなくて、向かいのおじいさんが言うには、井戸水には微量だけど農薬が混じってるから、飲料水には向かないって。特に6ヶ月未満の新生児には飲ませるなって。」
「いや、最初から、この辺は生活水は井戸水だけど、飲料水はペットボトル買ってきてるって言ったよ。飲んでたの?」
「飲んでないって。でもそれじゃ東京と変わらない(笑)。こんなに冷たくてきれいな水なのにねえ、残念だな。井戸水が飲めたのは戦前の話かあ・・」
「ま、仕方ないな。」
「井戸水って、どのくらい下から汲み上げてるの?」
「相当深いと思うよ。ここは高台だから、何十メートルじゃない?」
「変な話ね。汚水やトイレ、自家処理してるじゃない? 大丈夫なのかなと思って。」
「今はバイオで微生物処理してるし、浄化槽から浸透枡へ通してるし。というか、市街地でない限り、田舎はみんなそのやり方よ。都会の人から見ると信じられないけど。だいたいこんなに家が点々としかない広い土地に、水道下水張り巡らしたら、高くついてインフラ無理でしょう。」
「まあ、そうだわね。」
と言いながら、都会っ子には本能的に理解できないのであった(笑)
こうして、とりあえず5日間は終わった。