朝、まだ薄暗いうちからホトトギスの声で目が覚めた。寝ている部屋のすぐ脇でさかんに鳴いている。
「ホ〜ホケキョ、ホ〜〜ッホケッキョッ、ケキョケキョケキョ〜」と、大音量で鳴くのだわね。ホトトギスは春の風物詩と思っていたが、鳴くのは春だけじゃなかった。
目が覚めてしまったので、じゃあ、やるかと準備する。日が高くなったら、カンカン照りの中での作業はおそらく地獄だろう。朝のまだ涼しいうちと、午後遅く日陰ができてからしか庭の作業はできないと予測する。
もう姫DIYの範疇を超えてる。これは開墾だ。カ・イ・コ・ン。
次の構想はこうだ。庭に降りるためのウッドデッキ兼渡り廊下は作った。が、しかし、渡り廊下を降りたところの地面が、刈っても刈ってもすぐ篠竹と雑草に埋もれてしまうのでは、バーベキューコーナーまでたどり着けない。篠竹と雑草が生えないよう処理をして、バーベキューコーナーまでの小道を作ろうという計画である。
「それにはまず篠竹を根こそぎ取らないと。地下で篠竹が大きくなると、ほんの小さな隙間からまた生えてくるから。下手するとコンクリだって突き破るし。やっかいなんだよ。」
とは、師匠のお言葉。ぬぬぬ、にっくき篠竹め〜。
篠竹や蔦の根が地中を這う土地は、普通の鍬では掘りづらい。前回の教訓だ。昨日ホームセンターで三本鍬や新しい鎌など次々買った。これで準備万端のはず。
ウッドデッキに立ち、庭を眺め、作業の構想を練ると、あっと息を呑んだ。
目の前にもう1本、木の切り株を発見したのだった。
だめだ。こいつがあると、レンガやコンクリ施工どころじゃない。まず、こいつを取らねば。
ふふっ。伊達に2本も切り株取りやってない。今までの2本より小ぶりだ。これなら、やればなんとかなる!と、お供もいない姫は、たったひとりで2日かかって、切り株を取り除いたのでありました。朝3時間、午後日陰になり始めてから3時間を計2日。支根を1本切っては掘り進め、また支根を切って掘る。コツコツ地味〜な12時間かかっての除去作業。
我ながら、この根性はどっから出てくる?(笑)
この切り株除去が大幅な遅れとなった。プチ移住はあと2日しかない!初日は遊んだが、4日もあれば楽勝だと思ってたのは大間違いだった。まだまだ篠竹という難敵が待っている。
篠竹の根っこ掘りは、何カ月もコツコツやるしかね〜っぺ。
向かいの家に広い家庭菜園をやっているおじいさんがいる。ゆうに100坪くらいはありそうな家庭菜園だ。隣地なのに、土がきれいなのだ。篠竹なぞ見当たらない。ナスやトマトや、素人が栽培できそうな類の野菜がたくさん植わっている。隣接してるのだから、当然、篠竹には苦労しただろう。
手土産持って、どうやったのか聞いてみた。(手土産持ってったのには訳がある。師匠がこのおじいさんと喧嘩したんだってよ〜。まあ、向こうが完全に悪いんだけど。それでも手土産持ってこちらから折れるのが新参者の基本だわな。)
「ここへ来たのが10年以上前でよ。それこそ篠竹だらけだったさ。」
そうでしょう、そうでしょう。一部隣接してるんだから。
「篠竹は、地面から50cmくらい下を這っててなあ、いんや、1メートル下ってこともあったな〜。これが相当固くてよ、ちょっとやそっとじゃ抜けねーわけさ。それをだな」
すんごく長かったので要約すると、要は、何カ月もかかってコツコツと100坪、篠竹の根を掘っては切り、掘っては切って引っこ抜いたわけです。うきゃ〜〜〜っ。ターシャ・テューダーはここまでの重労働をやってないだろうなあ。篠竹が生えてないもの、ボストンは。
そして残り2日間を、それこそコツコツ篠竹の根っこ掘りに当てたわけです。
汗みどろになって、1日3回シャワーを浴びて体温下げながらの作業で、たったこれだけ?
とりあえず庭への降り口の篠竹が取れただけ・・・ああ。
さて、どうなりますことやら・・。