もうご無沙汰すぎて言い訳がたちません。
が、言い訳しとこう。昨年の秋も終わりの頃、腰をやってしまいました。なかなか完治せず、5カ月もたつのに今だに鍼治療通いの日々。今年の田んぼは幽霊部員と化しています。
ですが自分の記録のため、平成最後の秋から冬にかけての田んぼを、令和に移る前にこっそり書いておこうと思う。
実りの秋に向けてマイケル案山子を作る
平成最後の案山子は「スリラー」の衣装。トップの写真です。みんなから衣装をかき集め、髪と顔の中の土台のカゴは長年使いまわしのエコな一品。下は皮膚となるベージュの布をかぶせる前に、鼻を作っているの図。
作り方は、一昨年の記事をどうぞ。
Tokyoの田んぼ。MJ案山子の作り方
台風襲来の準備でイネをくくる
平成最後の夏は異常気象続きだった。というか天変地異の連続だった。
毎週のように台風が発生するかと思えば、関西空港が浸水した翌日には、北海道で大地震が起きた。最初、震度6強と発表されたが、のちに北海道観測史上初の震度7を観測していたことが判明した。
前日の台風21号で、もろくなっていた土壌が広範囲で土砂崩れを起こし、長期間のブラックアウトが起き、農家や酪農、観光、産業すべてに甚大な被害をもたらした。
だいたい北海道に台風は来ないんじゃなかったっけ? ほとんどの場合、北海道に到達する頃には温帯低気圧に変わるのに、何十年に1度、北海道へも大型台風が上陸してるのだった。
その台風に備えるため、東京の私たちのささやかな田んぼでも準備に追われた。
田んぼの中に倒れてしまったら、収穫できない。
穂が泥につかってしまったら、そこで生育は止まってしまう。
私たちが育てている古代米「栄光」は、わりと背が高い品種なのだ。
たとえば古代米の一種・黒米なんかは、もっと背が高くなる。
背が高いと強風に弱い。倒れやすくなる。
だから倒れないようにイネの株を3つ、互いに支え合わせて麻紐で束ねていくのだ。
実はその前の台風には間に合わず(なんせ週末ファーマーだから)、倒れたイネを起こしながらの作業になった。
小さな田んぼだからできるけど、商業農家の広大な田んぼじゃ、こんな手作業はムリだ。前回も書いたが、今の品種改良は、背を低く穂の数も減らす傾向にあるらしい。台風が来ても、しなるけれど、泥につかるほど倒れないように。
ついでに、稲だまも取り除いていく
今や絶滅危惧種に近い稲だま(いなだま)。
稲麹(いねこうじ)とも言い、酒を作る麹菌の一種なのだが、米粒の生育が悪くなるので、邪魔なんです。
ちょっとでも残すとまた増えるので、もったいないけど茎から1本まんま切り取って捨てる。
その辺に放置すると、胞子が飛んで、またさらに広がってしまう。
大きな木の根っこ1カ所に集めて捨てる。大きな木の根っこ付近は、なぜか浄化されると先生から教わった。でも、なんでだろう? 先生も経験値でおっしゃっているので、理由はわからないそうだ。
稲だまの説明はこちら→Tokyoの田んぼ。稲刈り・はさ掛けのやり方。
11月4日、稲刈り
古代米はゆっくり育つ。9月に穂を出してから、栄養をためこむのに2カ月近くかかって、11月にやっと稲刈りです。よその田んぼはもうとっくに終わってる。
倒れて泥につかってしまったイネは、こんな風になってしまう。中がスカスカ。
こうゆうのは、見つけたらなるべく取り除いておく。そうすると脱穀がやりやすいんですよね。おいしいものを食べるには、手間ひまかかっておりますわ。農家さん、ほんとにありがと~。
イネを刈ったら、はさ掛けにする
一昨年は非力な女たちで土木工事とあいなったが、昨年はたのもしい男手が集まった。やっぱ男手は大事だね。ちっこい男手も懸命に働いてます(笑)
3週間後、脱穀
天日にじゅうぶん干して、うまみと栄養がギュッと詰まったら脱穀です。
稲は総出でバケツリレーで広場に運び、脱穀機にかける者、残った藁をしばって束ねる者、各チーム共同で作業を行います。
協力しあわないと、できないんですよね。
古代、稲作が大陸から入って来て、集団で作業しないと米は作れなくて、こうやって大和の国、日本はできあがって行ったんだろうなと平成最後の日につくづく思います。
そして令和へ。
新しい時代になっても、美しい日本の里山を百年先も二百年先も残していきたいと、願いをこめて・・。